日本人の二人に一人はがんに罹るといわれている時代です。ご家族にがんの方が複数いらしても必ずがんになるわけではありませんが、一方で「がんになりやすい遺伝子を引き継いでいる方」や「もって生まれた遺伝子の変異によってがんを発症された方」が思った以上に多いこともわかってきました。
「遺伝性のがん」は一般的な非遺伝性のがんと比べて、
1) 比較的若い年齢で発症する
2) 複数のがんを発症する
3) 体質が子孫に遺伝する可能性がある
といった特徴があります。一部の「遺伝性のがん」については、血液検査で遺伝子の異常がわかります。
遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)は、BRCA1あるいはBRCA2という遺伝子の異常が原因で、女性の生涯乳がん発症率が60~80%(一般人口では約5%)、生涯卵巣がん発症率20~40数%(一般人口では約1%)と大変高く、また、20代など若い方での発症もある症候群です。海外では多くの方がこの遺伝子検査を受け、自分のがんリスクを知り、がん早期発見のための検査や予防的治療を受けています。米国では、年間12万人の方がこの検査を受けており、韓国では保険診療扱いとなり5000円未満で遺伝子検査を受けることができます。しかし、日本では自費診療で、その何十倍かの費用がかかります。
がんリスクの高い方が、がん発見が遅れたために、若くして長期にわたるがんの治療を受けたり、命を落としたりするのは残念です。日本でも早く、リスクの高い方に、適切なスクリーニング検査を経済的負担の少ない方法で受けられる環境が整備されてほしいです。
HBOCは、男性の方に遺伝子異常がある場合、男性のがん発症率が低く(膵臓がんや前立腺がん、男性乳がんのリスクは少し高くなるのですが、女性の乳がん:生涯発症が80%程度などに比較すれば、桁違いにリスクが低い)、家系内にがんの方が一見少なくみえることもあり、詳しくお話を伺うことが大切です。
ゆうあいクリニックでは、検診コースをお受けいただいた方に、遺伝カウンセリングをオプションで行っています。その方にあった適切な検診の方法、がん予防についてご説明します。十分なカウンセリングの上、一部の遺伝子検査も行っています(血液検査:私費)。私ってがん家系?など気になることがあればご相談下さい。
次回は、大腸がん、子宮がん、尿路系のがんなど多くのがんのリスクが高い、「リンチ症候群」についてのお話です。
ゆうあいクリニック 診療部 部長 桑田有希子
9時~18時(日・祝日・年末年始除く)
※本ダイヤルでの通話は、電話応対の品質向上とお問い合わせ内容確認のため、録音させていただいております。
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