「ちょっとこまかいですけど」自分の体をしっかり把握しましょう! シリーズ
第2回 人騒がせな検査項目、「アミラーゼ」
健診結果を持って、青い顔をして外来にいらっしゃる方がいます。「健診でアミラーゼが高かったんですけど、私『膵癌』でしょうか??」というのです。
WEBの情報は増えて有用になり、結構なことですが、「健康」「病気」については玉石混淆すぎて、かなり害の部分も目立つように思います。
WEB検索で「アミラーゼ 高値」と入れると上位にはほとんど膵臓の話が出てきます。具体的に膵癌や急性膵炎といった病名が並んだりもします。冒頭の「青い顔」の方も膵癌が心配なんだと思います。急性膵炎は通常激しい腹痛を伴いますので、健診を受ける前に病院にいっているはずです。
アミラーゼは唾液と膵液の成分のひとつです。学校で習ったと思いますが、デンプンはまず唾液で、次に膵液で消化されますが、アミラーゼはそのどちらにも存在するのです。
同じアミラーゼでも、唾液型と膵液型によって疑う病気が違うので、アミラーゼが高かったら、次のステップは採血してどちらのアミラーゼか多いのか調べます。
その結果で、さらに詳しくしらべたほうがよいか、症状がなければ心配ないでしょう、ということになります。
ゆうあいクリニックの検診では、血液検査で膵臓由来のアミラーゼである「P型アミラーゼ」を調べています。
ほか
・その方の今までのご病気(とくに慢性膵炎)や喫煙などの生活習慣
・家族歴(膵がんは家族歴は発症リスクに大きく関与、また「遺伝性乳がん卵巣がん症候群 HBOC」でも膵がんリスクの上昇があります)
・膵がんの危険因子の画像所見(膵管拡張、膵嚢胞性疾患、慢性膵炎など)
・「腫瘍マーカー(消化器)オプションで」、エラスターゼⅠ、Span1、-Dupan-2などに異常はないか、あるいはこれらと、腫瘍マーカーのCA19-9 の経年で上昇傾向がないか
・糖尿病の発症がないか(糖尿病の発症時は膵がんが併存している率が高め)糖尿病の急な悪化がないか
などを総合的に判断して、膵がんリスクが高いと判断したら、「膵がん早期診断外来」などの専門医受診をおすすめすることになっています。
いわゆる「尾道方式」にならっています。
さて、アミラーゼアイソザイムを調べてみるとたいていの場合唾液型です。病気としては、唾液腺の炎症や、唾石症などでどこかで唾液の流れが悪くなって、血液中に唾液型アミラーゼが増えている状態がありますが、多くは、体質も含め、はっきり原因がわからない、ほっておいても心配ないものです。
ちなみに、唾石症の症状は、唾液刺激があるとき(食べようとしているときや食事中)に耳下腺や、お口の下、あごのあたりが痛む、腫れるなどです。症状があれば耳鼻咽喉科を受診しましょう。
内科医師 片山 敦
ゆうあいクリニック
土屋記念クリニック
9時~18時(日・祝日・年末年始除く)
※本ダイヤルでの通話は、電話応対の品質向上とお問い合わせ内容確認のため、録音させていただいております。
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