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私はがん家系?②リンチ症候群のお話~

前回は遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)をとりあげましたが、その後、HBOCと診断された米国の女優が予防的乳房切除を行ったことが大きな話題となり、一気にHBOCの知名度があがりました。マスコミの影響力、有名女優の影響力はすごいですね。さて、今回はリンチ症候群のお話です。

 

リンチ症候群は、DNA(遺伝子の本体)の複製ミスをもとに戻す働きをもつ  「ミスマッチ修復遺伝子」の変異(主に4種類の遺伝子のうちのどれかの変異)を生まれながらにもっていることにより、がんが起こりやすくなる症候群です。HBOCと同じ常染色体優性遺伝で、母親あるいは父親がこの遺伝子変異をもっていると、子供には1/2の確率で遺伝します。日本人でこの遺伝子変異がある方の頻度は、遺伝子検査がすすんでいる欧米と比較して、あまり変わりなく、400人に1人くらいではと考えられています。

 

表1は海外の研究結果をもとにした数字ですが、リンチ症候群の大腸がんの生涯がん発症リスク(70歳までに発症する率)は一般の方の男性9%、女性7%と比較してとても高いです。一般の大腸がんは生活習慣病ともいえ、50歳代から増えはじめ、年齢が高いほど罹患率が増えますが、日本人で、遺伝子検査を行い「リンチ症候群である」、と診断を受けた方の中で、大腸がんを発症した方の平均年齢は42.3 歳でした。海外の複数のガイドライン、日本の「遺伝性大腸癌診療ガイドライン2012年」でも大腸がんを早期発見するために、大腸内視鏡検査は20~25歳から開始することが推奨されています。

 

大腸がんのほか、リンチ症候群で多くみられるがんは、「リンチ症候群関連がん」と呼ばれ、子宮体がん、卵巣がん、腎盂がん、尿管がん、胃がん、小腸がん、膵臓がん、胆嚢がん、胆管がん、脳腫瘍などです。女性では、大腸がんと同程度あるはそれ以上に、子宮体がんが多く、一般の子宮体がんより平均発症年齢は7歳程度若いため、 30歳代から、子宮体がんのチェックをするように推奨されています。大腸がんや子宮体がん以外のがんも、この2つのがんよりは頻度は低くなるものの、一般の方と比較すると、おおよそ10倍程度発症リスクが高く、がん発症年齢の平均は一般の方より10歳程度若いです。これらのがんをそれぞれの専門科を受診して定期的にチェックするのは大変ですが、ゆうあいクリニックの検診コースに、信頼のおける医療機関(ご紹介しております)での内視鏡検査による胃や大腸の詳細なチェック、予約外来での追加検査のスケジュールを組んでいくことで、がん早期発見のお役にたてるのでは、と考えています。

 

がん検診の頻度は、一般的には1~2年間隔をおすすめしていますが、リンチ症候群や、HBOCの方など、1~2年に1回の検査では、がんが進行してしまう可能性があり、リスクの評価をし、個別に検査スケジュールを考える必要があります。

 

がんリスク評価のためには、家族歴、とくに「どんな種類のがんに、何歳でかかったか」、がとても大切です。しかし現在、少子化、核家族化、個人情報保護の考え方の浸透などで、家族歴を正確に調べるのは大変難しくなっています。ご自身やご家族の方が、若い年齢でがんになったり、複数のがんにかかったりしている場合、家系内に大腸がんや、他のリンチ症候群関連がんが多い場合には、遺伝カウンセリングをおすすめします。家族歴について検討し、がんリスクについて、さまざまな角度から一緒に考えていきましょう。遺伝子検査も可能ですが、遺伝子検査は、検査についてよく理解していただいたうえで行っております。


ゆうあいクリニック 診療部 部長 桑田有希子

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